ITパスポート試験 用語辞典

DRM【Digital Rights Management】でぃーあーるえむ
ディジタルコンテンツの不正利用を防止し、著作者の権利を保護することを目的とする技術の総称。データの暗号化、コピー制限、利用者認証、利用可能期間の設定などの仕組みによって、ディジタルコンテンツの不正利用を制限する。
別名:
デジタル著作権管理
分野:
テクノロジ系 » 情報メディア » マルチメディア技術
重要度:

(Wikipedia デジタル著作権管理より)

デジタル著作権管理(デジタルちょさくけんかんり、Digital Rights Management、DRM)とは、電子機器上のコンテンツ(映画や音楽、小説など)の無制限な利用を防ぐための技術の総称。

概要

基本的には、オリジナルのデータを秘密の符合方式によって記録し、特定のソフトウェアあるいはハードウェアでしか再生できないようにすることで、第三者による複製や再利用を難しくする技術。コピーガード技術の一種とみなす場合もあるが、コピーガードはメディアの物理的特性を利用してコピーを制限するのに対し、デジタル著作権管理は純粋なデジタルデータとソフトウェアを使って、たとえ同一のデータをコピーできても再生や閲覧が不可能になるように設計されたものをいう。インターネット映像販売において世界で70%のシェアを持つWindowsMediaDRMや、iTunes Music Storeから導入されたQuicktimeフォーマット向けのFairPlay、PDF向けのAdobe LifeCycleがその代表例である。

デジタル化されたコンテンツは複製しても品質が劣化しないことから、元ファイルから制限無くコピーを生成できる。デジタル著作権管理技術では、コンテンツ本体とは別にその再生に不可欠な鍵となるメタデータを用意し、特定のユーザだけにそのメタデータを渡す。鍵となるメタデータを持たないユーザはコンテンツ本体だけを持っていても再生できず、またメタデータは再生するコンピュータやユーザに一意に対応するため、結果として無制限な複製が抑制されることを狙いとしている。

映画産業や音楽産業などのコンテンツ供給者は、著作権益を保護するためにDRMは必要であると主張している。

日本国内では、DRMを回避するハードウェア・ソフトウェアの流通は不正競争防止法の規制対象であり、CSSなどの暗号型技術などにより技術的保護手段がとられているデータの複製は著作権法の私的複製権の対象外として複製が規制されている。技術的保護手段を回避して複製を行うプログラム・装置を提供することについても規制され、刑罰の対象となる

米国ではこれに加えてソフトウェアやハードウェアの改造やリバースエンジニアリングの行為そのものがデジタルミレニアム著作権法(DMCA)違反とされる。

DRMはデータとそのデータを再生するプレイヤーソフトの双方が対応していて初めて実現できるしくみであることから、特定のソフトウェアに依存したものになりやすい。現在、Yahoo動画、GyaO!、DMM、BIGLOBEストリーム(みんなでBIGLOBEストリームを除く)など様々な動画サイトでWindowsメディアテクノロジーに拠るDRMが採用されており、それらのサイトはLinux、Mac OSでは視聴できない。逆に、QuickTimeに依存したDRMを採用しているiTunes Storeで購入したDRM付き音楽は、QuickTimeをインストールしていないWindowsでは視聴できない。

DRM技術の仕組み

DRMを実現する仕組みにはさまざまなものがあり、その機構はコンテンツの形式や利用形態によって異なるが、ユーザが特定の再生ソフトウェア(iTunesやWindows Media Playerなど)を使い、暗号化されたコンテンツを復号しながら再生する方式が一般的である。暗号化に使われる鍵(キー)は再生ソフトウェア内に隠されているか、あるいはネットワーク上からダウンロードされることが多い。この再生ソフトウェアがユーザのコンテンツ利用を管理するため、利用期間の切れた後には再生不能にするなどの処置が可能になる。しかしこの方法では暗号方式や再生ソフトウェアの内部構造がリバースエンジニアリングによって知られてしまうと、これらの制限を迂回するようなプログラムが作成できてしまう。この行為はシステムを破るという意味で「クラック」とも呼ばれ、DMCAはこのようなリバースエンジニアリングを法的に禁止するための強制力をもった法律である。

初期のDRM技術として知られているものに、DVD の映像信号を暗号化する CSS がある。CSSでは再生ソフトウェアに埋め込んだ固定鍵を用いる単純な暗号化を使っていたため、リバースエンジニアリングにより鍵が一般に知られてしまってからは、ほとんどその実効性が失われている。Windows Media Player 形式など最近のDRM技術ではネットワークから鍵をダウンロードするものが多い。

既存のDRMの多くがソフトウェアのみで機能を実現するために、再生ソフトウェアをリバースエンジニアリングして修正を加えることでコンテンツはクラックされてしまう。そのため、近年ではハードウェアそのものにDRM機能を埋め込み、ハードウェアに不正な改造を行わない限りDRMで保護されたコンテンツを再生できないようにする 強制アクセス制御機構をパソコンに標準搭載することが提案されている。マイクロソフト はこのような機構として次世代セキュアコンピューティングベース(Palladium構想)を提唱している。

DRMへの批判

恒久的な再生が保証されていない

DRM技術のほとんどが特定のメーカーによって定められ、その技術的詳細が一般に公開されていないことから、そのメーカーやサービスが活動を停止した際に、購入したコンテンツが将来にわたっても利用可能なのかが必ずしも担保されていない。また、再生機器を買い換えた場合にデータの移行が出来ず、それまでに購入したコンテンツが利用できなくなる場合もある。

もっとも、そもそも恒久的な再生は保障されていないという意見もある。コンテンツの提供する側にとっては、コンテンツの提供時に指定したメディアから再生することのみを許諾しているというのである。この考え方では、消費者はコンテンツを収録しているメディアを所有しているのであって、コンテンツそのものを所有しているわけではない。そのため、そもそも恒久的な再生というものは、保証されておらず、提供時のメディアの寿命とともにコンテンツを再生する権利も終了する。また、消費者はコンテンツの複製を所持しているのであって、コンテンツの著作権を持っているわけではないので、明示されていない場合には、著作権法で許容されている例外を除けば、提供時のメディアから他のメディアに複製することは、著作権法が定めるところの著作権の一部である複製権の侵害である。

消費者の権利に対する制限

DRMはその技術的特性により、理由を問わず複製そのものを制限している。そのため、一般的な著作物では、著作権法によって認められている範囲での私的複製、抜粋、データの編集などの行為も、複製を伴う行為であれば制限されている(もっとも、日本の著作権法では、暗号化を伴うDRMで複製を制限している場合には、そもそも私的複製の対象外であり、消費者が自由に活用する権利はない)。

一方で、海外では著作物の合法的な活用指針としてフェアユースが定義されている場合がある。フェアユースによりコンテンツを自由に活用できるようにすることを要求しているフリーソフトウェア財団(FSF)などの団体から、DRM は購入した製品を自由に使う消費者の権利を奪っているとの主張がでている。DRMは著作権の保護より消費者の権利を「制限」することが本質であり、"Rights"という言葉は一種のプロパガンダであるとして、DRMをDigital Restrictions Management(デジタル諸制限管理)と呼ぶべきだとの意見がフリーソフトウェア財団(FSF)などから上がっている。

特定環境への依存

各種のDRM技術は特定のソフトウェアに依存し互換性が無いことから、消費者は特定のソフトウェアを選択せざるを得なくなる。また再生や閲覧のためのソフトウェアを利用できる環境についても同様の制限があり、例えばiTunesやWindows Media PlayerのDRM技術を使用するコンテンツが、OSとしてLinux等を用いるコンピュータ上で再生できないといった問題が生じる。こうした制限からDRMに対しては消費者の敬遠がみられ、DRM技術を使用せずにコンテンツの利用について広い選択肢を与えることで、消費者を取り込もうとする企業も現れている。

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