ITパスポート 試験情報＆徹底解説

【29年度春  問53】
プロジェクトにおけるスコープとは，プロジェクトの成果物及び成果物を作成するために行わなければならない作業のことである。あるシステム開発プロジェクトにおいて，システム要件定義，設計，プログラミング，テストを実施する。a～cのうち，このプロジェクトのスコープに含まれるものとして，適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

a.開発するシステムやその設計書
b.テスト完了後の本番稼働時における保守作業
c.プロジェクトメンバ育成計画の作成や実施

ア：a   イ:a,c   ウ：b,c    エ：c

答えはイですが、cが含まれる理由がピンときません。
この問題はプロジェクトマネジメントの、PMBOKに関する問題だと考え、
cは「スコープ管理」ではなく「人的資源管理」だなと思ったのですが…

問題文にPMBOKとは書かれてないので、微妙にニュアンスが違うのでしょうか？

  これはmintさんがよく勉強されているために逆に引っかかってしまったように感じます。
PMBOKに関して全く知識がない状態でこの問題を読むと、「スコープとは，プロジェクトの成果物及び成果物を作成するために行わなければならない作業」という文面から、ソフトウェアやシステムといったプロジェクトの結果できあがるもの（成果物）と、それを作り上げるための「作業全般」がスコープに含まれることになり、ａの設計作業もｃのメンバ育成も成果物を作り上げるための作業であることから、スコープに含まれると考えられます。ｂに関しては私には判断がつかなかったのですが、ａとｃが含まれる選択肢がイしかないので消去法的にイが正解となるのでしょう。
  ちなみに、PMBOKでのスコープ管理と統合管理は他の管理の1段上にある管理だと思います。スコープ管理でWBSやCBS、OBS等によって落とし込まれた内容を管理するのがタイム、コスト、人的資源等といった各管理で、それぞれがプロジェクトの「スコープ」（つまりプロジェクトの範囲）に含まれます。またスコープ管理の下にある各管理が、悪い意味での縦割管理になってしまわないようにそれぞれの管理間の調整を行うのが統合管理となると思います。（文中の「管理」の部分は適宜「マネジメント」として読み換えていただくとわかりやすいかもしれません。）

ITパスポート試験で、こんな問題が出るのですね。ビックリです。基本情報技術者試験に同じ問題が出ても、cを含めることを忘れそうです。昨年合格者さんの説明で完璧ですが、違う切口から説明します。

プロジェクトで行う作業には、成果物(例えば、「a.開発するシステムやその設計書」)を作成するために直接行う作業の他に、プロジェクトマネジメントの作業(例えば、「c.プロジェクトメンバ育成計画の作成や実施」)も含まれます。

なお、「b.テスト完了後の本番稼働時における保守作業」は、このシステム開発プロジェクトの終了後の作業であるため、このプロジェクトのスコープに含まれません。

昨年合格者さん
＞ちなみに、PMBOKでのスコープ管理と統合管理は他の管理の1段上にある管理だと思います。

この補足のお陰ですごくスッキリしました。
9つある○○管理を全て同列に見ていたので、腑に落ちなかったのだと思います。確かに統合管理は全てを包括してそうですし、スコープ管理もそのイメージで考えると問題文の内容も答えも理解できます。
とても丁寧にお答えくださってありがとうございます！


通りすがりの者さん
上位試験合格者さんでも迷いそうな問題って事は中々の難易度ですね！
ITパスポートは広く浅くなイメージがあるので、少し突っ込んだ問題が出ると
途端に？となります。近年難しくなっているとも聞きますし、大変です；
通りすがりの者さんも、ご回答ありがとうございました！

通りすがりの者さん、補足ありがとうございます。
今改めてmintさんが書かれた問題文を見直してみたら、「あるシステム開発プロジェクトにおいて，システム要件定義，設計，プログラミング，テストを実施する。」とテストまでがプロジェクトの範囲（＝スコープ）とちゃんと書いてあったのを見落としておました。ということで、通りすがりの者さんの解説の通り、ｂはスコープから外れることになりますね。私も次の試験に向けて問題文の見落としをしないよう気を付けたいと思います。