令和2年秋期試験問題 問26
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全国に複数の支社をもつ大企業のA社は,大規模災害によって本社建物の全壊を想定したBCPを立案した。BCPの目的に照らし,A社のBCPとして,最も適切なものはどれか。
- 被災後に発生する火事による被害を防ぐために,カーテンなどの燃えやすいものを防炎品に取り替え,定期的な防火設備の点検を計画する。
- 被災時に本社からの指示に対して迅速に対応するために,全支社の業務を停止して,本社から指示があるまで全社員を待機させる手順を整備する。
- 被災時にも事業を継続するために,本社機能を代替する支社を規定し,限られた状況で対応すべき重要な業務に絞り,その業務の実施手順を整備する。
- 毎年の予算に本社建物の保険料を組み込み,被災前の本社建物と同規模の建物への移転に備える。
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解説
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、予期せぬ重大災害が発生した場合に、必要最低限の事業を継続しつつ、業務を早期に復旧・再開できるようにするための行動計画です。ここでいう災害とは、単に地震や洪水などの自然災害だけを言うのではなく、大規模停電・テロ・新型インフルエンザ・システム障害などの企業活動の継続が危ぶまれる危機的事象全般が含まれます。
本問では本社建物の全壊を想定しているので、BCPにはその場合に事業継続ができるような、またはコア業務を早期に復旧するための手順を定めることになります。
本問では本社建物の全壊を想定しているので、BCPにはその場合に事業継続ができるような、またはコア業務を早期に復旧するための手順を定めることになります。
- 事業継続のための計画ではないので不適切です。損害を抑えるための防災施策は、防災計画やディザスタリカバリプランの一部として計画します。
- 本社建物が全壊すると指令系統が停止し、本社からの連絡もままならない状況に陥ることが予想されます。このため、本社からの指示がなくても支社が自らの判断で復旧に向けて行動できる手順を定めるべきです。
- 正しい。本社建物が全壊すると本社機能が停止します。緊急時には、平常時の業務では求められない全社的な分析と意思決定が求められるので、本社が使えなくなることを想定して、同時に被災しない支社を代替拠点として確保しておく必要があります。また、被災後の状況下では使用できる経営資源に制限があるので、優先すべき重要事業・業務を絞り込んだ上で継続または早期復旧の手順を定めます。
- 本社の移転は業務が安定してから考えるべきことであって、被災直後の事業継続を目的とするBCPの内容からは外れています。
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