平成30年春期試験問題 問1

製品と市場が,それぞれ既存のものか新規のものかで,事業戦略を"市場浸透","新製品開発","市場開拓","多角化"の四つに分類するとき,"市場浸透"の事例に該当するものはどれか。

  • 飲料メーカーが,保有技術を生かして新種の花を開発する。
  • カジュアル衣料品メーカーが,ビジネススーツを販売する。
  • 食品メーカーが,販売エリアを地元中心から全国に拡大する。
  • 日用品メーカーが,店頭販売員を増員して基幹商品の販売を拡大する。
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分野:ストラテジ系
中分類:経営戦略マネジメント
小分類:マーケティング
解説
説問の分析フレームワークは「アンゾフの成長マトリクス」と呼ばれます。

アンゾフの成長マトリクスは、経営学者のH・イゴール・アンゾフ(H. Igor Ansoff)が提唱したもので、縦横の2軸に「市場」と「製品」を設定し、それぞれに「既存」「新規」の2区分を設けたマトリクスを使用します。ある事業領域がマトリクス上のどこに位置づけられるのかを明確にし、分類された象限ごとに適した4つの経営戦略(市場浸透,製品開発,市場開拓,多角化)を示したものです。事業成長の方向性を検討するために適したフレームワークとして知られています。
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それぞれの象限に分類された場合の経営戦略は次のようになっています。
市場浸透(既存製品・既存市場)
広告・宣伝を強化するなどして、他社のマーケットシェアを奪ったり、自社の優良顧客を増やしたりすることで成長を図る戦略
製品開発(新規製品・既存市場)
現在の顧客や市場に対して、新機能をつけた製品や新規開発製品を提案することで成長を図る戦略
市場開拓(既存製品・新規市場)
現在の製品を、今までとは異なる顧客や市場に販売することで成長を図る戦略
多角化(新規製品・新規市場)
技術開発、業務提携、M&Aなどで、現在の事業と関係のない新しい分野に進出することで成長を図る戦略
以上を踏まえると、選択肢の4つの事例はそれぞれ以下のように分類できます。
  • 新規市場、新規製品の組合せなので"多角化"です。
  • 既存市場、新規製品の組合せなので"新製品開発"です。
  • 新規市場、既存製品の組合せなので"市場開拓"です。
  • 正しい。既存市場、既存製品の組合せなので"市場浸透"です。

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