ITパスポート試験 用語辞典
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- 分野:テクノロジ系
中分類:ハードウェア
小分類:コンピュータ・入出力装置 - 重要度:
- ★★★
(Wikipedia 3Dプリンターより)3Dプリンター(3D printer)とは、通常の紙に平面的に印刷するプリンターに対して、3DCAD、3DCGデータを元に立体(3次元のオブジェクト)を造形する機器。産業用ロボットの一種。
通常は積層造形法(additive manufacturing)によるものを指し、切削造形法によるものは3Dプロッター(3D plotter)と呼ぶ。3次元のオブジェクトを造形することを、3Dプリント(三次元造形、)と呼ぶ。
歴史
初期のものは1980年代に開発され実用化していったが、それらは高価であるばかりでなく、特殊な制御を求められるものであった。
1980年、小玉秀男が光造形法を発明し、また1983年にが.stl(Standard Triangulated Language)という3Dデータの保存方式を発明し、1986年3D Systems Corpを起業して、翌1987年「SLA 1」として商品化した。これが初の3Dプリンターとされるこの後も、1990年代半ばまでに様々な技術開発と製品が出されたが、それぞれ別々の名で呼ばれ、まだ3Dプリンター(もしくはadditive manufacturing)はそれらを表す共通の言葉とはなっていなかった。
1990年、3D印刷ともっとも広く関連づけられるPlastics extrusion技術が、Stratasys社により"fused deposition modeling (FDM)"(熱溶解積層法)として商品化された。
1995年、Z Corporation社が、MITが開発した積層造形法に基づく製品を初めて"3D printing (3DP)"の商標で販売した。これにより、Ink jet material depositionを行う機器をおおまかに他と区別して3Dプリンターと呼ぶようになっていった。
2000年代半ばまでは安くても数百万円するため企業など事業所で導入されるのが主であったが、基本特許が切れたのに伴って数万円〜数十万円のものが発売され始め、個人や家庭でも導入されるようになっていった。
2008年から2011年にかけて、低価格の個人用3Dプリンタ市場は毎年平均346%もの爆発的成長を遂げ、2013年には7万台が売られたと見積もられている。
2010年頃は、3D Systems,Stratasysなど上位3社で業界シェアの80%以上を占め、特に、ストラタシス社のシリーズの業界シェアが約50%と高く、事実上の業界標準となっていた。2012年に3D SystemsがZ Corporationを併合して、二社の争いになった。
方式
手法や機種によって多少の違いはあるが、コンピュータ上で作った3Dデータを設計図として、その断面形状を積層していくことで立体物を作成するというのが基本的な仕組みである。液状の樹脂に紫外線などを照射し少しずつ硬化させていく光造形方式、熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねていくFDM方式(Fused Deposition Modeling, 熱溶解積層法)、粉末の樹脂に接着剤を吹きつけていく粉末固着方式などの方法がある。
鋳造・射出成型や切削との比較
3Dプリントは金型を作っての成形や切削による造形などの従来手法と比較されることが多い。3Dプリンタをはじめとした積層造形では鋳型の製造や治具の作成を必要としないと言う特徴から、設計段階での試作のように頻繁に形状を変更して迅速に実態が欲しい場面(ラピッドプロトタイピング)や、医療機器のように個々の患者に合わせて形状を変更するような製品の製造、航空宇宙分野のようにそもそも従来手法のコストがさして低くないチタン部品の製造などに向いているとされる。
作る造形物という意味では、
- 切削では削ることの出来なかった中空形状・複雑な内部形状も3Dプリンターであれば造形が可能
- 部品を製造するのではなく、一体化された所謂アセンブリされた状態を一度で造形する
- 複数の異なる材料を使用しての一体造形が可能
- 誰が何個作っても毎回同じ物が出来る。
- 複数のモデルを一度に作ることが出来る。
操作という意味では、
- 操作者の技術力に依存しない。
- 機器の取り扱いが容易。造形に人手をあまり要さない。
という特徴を持つ。
一方、欠点は以下の通りである。
- 現状では大量生産への適用が難しい
- 現状では基本的に従来手法と比較して高価・低速なため
- 要求される精度が高くなるとリニアに製作時間が増加する
- 層の厚さが精度と直結するため
- (FDM法)強度を求められる部品への適用が難しい
- 使用可能
- (FDM法)接地部よりも上部の方が広い漏斗型の形状では支持材を使用する必要があり、後行程で除去する必要がある
用途
製造業を中心に建築・医療・教育・航空宇宙・先端研究など幅広い分野で普及している。用途は業界によって様々である。製造分野では製品や部品などの「デザイン検討」「機能検証」などの試作やモックアップとして、建築分野ではコンペやプレゼン用の「建築模型」として、医療分野ではコンピュータ断層撮影や核磁気共鳴画像法などのデータを元にした「術前検討用モデル」として、教育分野では「モノづくり教育のツール」として、航空宇宙分野ではジェットエンジンやロケットエンジンの機能部品の製作に、先端研究分野ではそれぞれの研究用途に合わせた「テストパーツ」「治具」などの作成用途で使用されている。また、10万円以下で購入可能
昨今では、精細度が良いだけでなく、ラバー(ゴム)系の材料が使えたり、複数の物性の異なる材料を混ぜながらの造形やフルカラーでの造形が可能
試作
3Dプリンターの使用用途としては、実際に製品を作る前にそれぞれの部品を3Dプリンターで出力できるサイズに縮小して出力して、デザインの検証・機能検証などの試作に使われることが多い。大手建設会社では建物の模型を3Dプリンターで出力して客に説明する際に使われている。この3Dプリンターを使用するメリットとしては、安いものでは1cm2あたり20円という安価(FDM法)で試作できる、今までパソコンの画面上でしか見ることができなかったものが、実際に手に取ることができるため、完成したときのイメージが非常にしやすくなる、などが挙げられる。完成したときのイメージがしやすいということは、実際に製作している過程でも、完成形のイメージがしやすいため製作者に迷いが生じにくいということを意味し、作業効率の向上にも繋がりうる。
2005年5月19日(日本では7月9日)に劇場公開された映画『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』で使用されたダース・ベイダーのマスクの試作品作成に、日本の3Dプロッタ機器製造販売会社ローランド ディー. ジー.の3Dプロッタ「MDX-20」が使用された。
航空・宇宙分野
2014年9月には、ドラゴン補給船SpaceX-4で、実験用の宇宙用3Dプリンターが国際宇宙ステーションに運ばれて宇宙でも実験が行われることになった。この3DプリンターはMade in Space社が開発したもので、地球から離れた場所で補給がすぐに出来ない時にも簡単な修理部品を作って対応することが出来るようにすることを目指している。
また、CFMインターナショナル社の最新型ターボファンエンジンLEAP-Xの部品製造にも3Dプリンタが使用されている。医療分野
3Dプリンタの活用は医療分野でも注目されている。
2014年の段階で、補聴器の製造には既に3Dプリンターが広く活用されており、何百万人もがその恩恵を享受している。また外科領域では主にインプラントの分野で活用が進んでいる。
2015年1月2日、富士フイルムと東京大学医学部附属病院は3Dプリンターを使って皮膚・関節の量産をする技術を確立したと発表。
問題
銃の部品の図面をダウンロードし、3Dプリンターにより部品を作成することで、殺傷能力のある銃が作成されるという懸念がある。米国では非営利団体「ディフェンス・ディストリビューテッド」が2013年に3Dプリンターで作成できる銃の図面を公開している。これは「リベレーター」と名づけられている。日本では2014年5月8日に3Dプリンターで作成した銃を所持していた大学職員の男が銃刀法違反で逮捕された。
3Dプリンター銃製造事件
また、2014年7月14日には、自称芸術家・ろくでなし子と名乗る女が、自らの女性器の陰部を3Dデーター化し、それを香川県の会社員に配布したとされるわいせつ電磁的記録頒布の容疑で逮捕される事件があった。データーを3Dプリンターにかけると、石膏などで女性器が再現され、これがわいせつ物に相当するものとみなされた
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