ITパスポート試験 用語辞典

認知バイアスにんちばいあす
物事を思考し判断する際に、自分の過去の経験や記憶の癖・潜在意識などの人間特有の心理的影響によって、本来あるべき結果が歪められてしまう現象のこと。

認知バイアスにはその性質によって様々なものがあるが、よく知られているものに正常性バイアス(自然災害や事件などの危険が身近にあっても自分の生活には影響はなく正常な状態であると判断してしまう)、ハロー効果(評価対象の中の一つの特徴に強い印象を受けると、それ以外の特徴についても実際以上の正しくない評価を与えてしまう)、確証バイアス(自分が立てた予想や望む結果を裏付ける自分に有利な情報に固執する・得られた情報を自分の都合が良いように解釈する)、アンカリング(最初に得た情報がその後の思考・判断に影響を与える)などがある。

思考には、論理的根拠に基づき順序立てて意識的に行う思考と、自分が過去に経験した事柄や直観を利用して無意識的に素早く行う思考の二通りがある(二重過程理論)。無意識的思考では、意識的な思考で行っていた筋道を立て論理的に考える思考手順をショートカットし、過去の記憶や潜在意識化にある認識、判断の癖を利用して短時間で思考判断を行う。この直観的な思考のショートカットはヒューリスティックと呼ばれる。ヒューリスティックでは、印象的な出来事・最近起きたこと・何度も起きることは思い出しやすく、❶思い出しやすい出来事は高確率で発生し正しい情報であると判断しやすい、❷無意識化にある偏見や先入観は思考に影響を与えやすい、❸自分の主張や考えに有利な情報を利用して判断を行ないがち、などの心理的な働きを受けやすく、これが認知バイアスを生じる原因となっている。合理的で正しい思考を行うためには、認知バイアスの存在を理解し、曖昧な記憶を思考の論拠とせず客観的なデータを用いる、自分の判断を疑い検証を行う、などの対策をとる必要があるが、こうした対策の中にも常に認知バイアスが存在することを念頭においておく必要がある。
分野:
ストラテジ系 » 企業活動 » 業務分析・データ利活用
(シラバスver6.2)
重要度:
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