ITパスポート試験 用語辞典
PPM【Products Portfolio Management】ぴーぴーえむ
縦軸に市場成長率、横軸に市場占有率をとったマトリックス図を4つの象限に区分し、市場における製品(または事業やサービス)の位置付けを2つの観点で分類して資源配分を検討する手法。
4つの象限は、市場内の位置付けから以下のような名称で呼ばれている。
4つの象限は、市場内の位置付けから以下のような名称で呼ばれている。
- 花形(star)…[成長率:高、占有率:高]
- 占有率・成長率ともに高く、資金の流入も大きいが、成長に伴い占有率の維持には多額の資金の投入を必要とする分野。
- 金のなる木(cash cow)…[成長率:低、占有率:高]
- 市場の成長がないため追加の投資が必要ではなく、市場占有率の高さから安定した資金・利益の流入が見込める分野。
- 問題児(problem child)…[成長率:高、占有率:低]
- 成長率は高いが占有率は低いので、花形製品とするためには多額の投資が必要になる。投資が失敗し、そのまま成長率が下がれば負け犬になってしまうため、慎重な対応を必要とする分野。
- 負け犬(dog)…[成長率:低、占有率:低]
- 成長率・占有率ともに低く、新たな投資による利益の増加も見込めないため市場からの撤退を検討されるべき分野。
(Wikipedia プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントより)
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(略称PPM)とは経営資源を最適に配分することを目的として、ボストン・コンサルティング・グループが1970年代に提唱したマネジメント手法。製品ライフサイクルと製品製造現場における経験曲線効果の概念を元にした経営理論。GE社のマネジメントスクリーンはこれを応用して開発されたもの。
一般的な方法としては、図表の縦軸に市場成長率を、横軸に相対的マーケットシェア(市場占有率)をおいて、現在の自社の事業や商品・サービスが図のどこに位置するかを分析して、その結果を基に、各事業毎の方向性と経営資源配分のウェイト付けを行なう。
各項目と特性
市場成長率、市場占有率それぞれの高低により4つの象限(項目)に分類する。
- 金のなる木 (cash cow)
- (成長率:低、占有率:高)
- 市場の拡大が見込めないため追加的な投資があまり必要でなく、市場シェアの高さから大きな資金流入・利益が見込める分野。製品ライフサイクルにおける成熟期 - 衰退期に属する。
- 花形製品 (star)
- (成長率:高、占有率:高)
- 成長率・占有率ともに高く資金流入も大きいが、競合も多く、占有率の維持・拡大に多額の追加投資を必要とする。高シェアを維持し続けることで「金のなる木」へと育てるべきであるが、シェアが低下すれば「負け犬」となる。製品ライフサイクルにおける導入期 - 成長期に属する。
- 問題児 (problem child)
- (成長率:高、占有率:低)
- 成長率が高い半面、占有率が低い分野。多額な投資資金が必要な一方、多くの資金流入は見込めない。占有率を高めることによって「花形製品」となるが、シェアの低いまま成長率が鈍化すれば「負け犬」となる。製品ライフサイクルの導入期 - 成長期に属する。
- 負け犬 (dog)
- (成長率:低、占有率:低)
- 市場占有率が低く、今後の市場成長率も見込めないため撤退が検討されるべき分野。製品ライフサイクルにおける成熟期 - 衰退期に属する。
PPMの限界
事業分野を成長率と占有率の2軸で4つのいずれかに分類するのは分かりやすい半面、事業戦略としては単純化しすぎているとして、下記の課題が残るとされている。
- 各事業分野は相互に関連する例が多く、PPM以外にも考慮すべき要因が多数ある。
- 例え「負け犬」や「問題児」に分類される分野であっても、「花形製品」や「金のなる木」のシェア維持に貢献する分野もあるので、単純に区別できない。例えば補完財など。
- 投資を抑えるべき「金のなる木」であっても自動車産業のように、HVやEVなどのイノベーションで競争条件が変更されたり、市場成長率がさらに高まる可能性もある。
- 「負け犬」に分類された事業分野における社員のモチベーションが低下する問題。
出題例
PPM(Product Portfolio Management)で"問題児"と呼ばれる領域の特徴として,適切なものはどれか。
- 市場占有率が高く,事業拡大のための積極的な投資を必要としないので,収益源となる。
- 市場の成長と高い占有率によって大きな売上がもたらされるが,競争力維持のために継続的な投資を必要とする。
- 市場の成長率及び市場占有率がともに低く,長期的なビジネスの期待を掛けられないので,撤退も検討しなければならない。
- 市場は成長しているが占有率が低く,今後の収益の柱となる事業に育てるために積極的な投資を必要とする。
[出典]ITパスポート H26年秋期 問19 解説
正解
エ
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