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不正競争防止法ふせいきょうそうぼうしほう
事業者間の公正な競争と国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止を目的として設けられた法律。不正競争行為には、他人の著名な商品表示の悪用、コピー商品の販売、不正手段で取得した営業秘密や限定提供データの使用等、アクセス制限を無効化する手段の提供、ドメイン名の不正取得などの10つの類型があり、これらについて不正競争に係る差止め・損害賠償請求に関する措置を規定している。
分野:
ストラテジ系 » 法務 » 知的財産権
出題歴:
23年特別問20 24年秋期問1 25年春期問25 26年春期問24 
重要度:

(Wikipedia 不正競争防止法より)

不正競争防止法(ふせいきょうそうぼうしほう、平成5年5月19日法律第47号)は、公正な競争と国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止を目的として設けられた法律のことである。経済産業省が所管する。

条文上は、その第1条(目的)に「この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と規定される。

不正競争防止法の意義

市場経済社会が正常に機能するためには、市場における競争が公正に行われる必要がある。したがって、たとえば、競争相手を貶める風評を流したり、商品の形態を真似したり、競争相手の技術を産業スパイによって取得したり、虚偽表示を行ったりするなどの不正な行為や不法行為(民法第709条)が行われるようになると、市場の公正な競争が期待できなくなってしまう。また、粗悪品や模倣品などが堂々と出回るようになると、消費者も商品を安心して購入することが出来なくなってしまう。以上のように、不正な競争行為が蔓延すると、経済の健全な発展が望めなくなることから、市場における競争が公正に行われるようにすることを目的として、同法が制定されているものである。

不正競争防止法では、保護する対象に対して、行為の規制(禁止)となる要件を定めることで、信用の保護など、設定された権利(商標権、商号権、意匠権等)では十分守りきれない範囲の形態を、不正競争行為から保護している。

実質的には、不競法の条文が適用される場合に、一定の要件が求められることから、知的財産(無体物)等の権利が設定された場合と同様な効能を有するとも解することができる。

(代表的な例)

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不正競争防止法の歴史と経緯

明治時代から、相手の商品を模倣したり、著名な商品名にただ乗りするなどの形で、不正競業と呼ばれる行為は広く行われており、そのために市場における営業上の権利(商号、商標など)に係る法律が制定されたが、権利を有していない場合などにおける救済措置は、ほとんど認められていなかった。特に、不正な行為や不法行為(民法709条)の適用の要件については、大正時代初期においては、きわめて限定的であり、弾力的な運用はなされてこなかった。

しかしながら、「大学湯事件」損害賠償請求事件(大正14年(オ)625号)大審院大正14年11月28日第三民事部判決において「湯屋業ノ老舗其ノモノ若ハ之ヲ賣却スルコトニ依リテ得ヘキ利益ハ民法第七百九條ニ所謂權利ニ該當スルモノトス」とする判示によって、この不法行為の要件が「権利の侵害」からその「違法性」へと変更され、不法行為により侵害される権利を広範に認めるという要件が成立するようになった。

また、1927年の大恐慌の後、1932年の上海事変の勃発等による軍需景気によって、国の経済は再び景気を取り戻しつつあったが、昭和初期における日本は、依然として低賃金で工業製品を大量に製造し、廉価で輸出するという形の工業国であったため、粗悪品や模倣品、商品の偽造といった様々な不公正貿易行為が対外的に強い批判にさらされていた。戦前の通商政策においては、日本が市場における不正な競業行為を否定することを積極的に対外的に訴えることで、外交上の批判をかわす必要があった。

以上を踏まえ、1934年に「工業所有権の保護に関するパリ条約ヘーグ改正条約」を批准する機会にあたり、旧不正競争防止法(昭和9年法律第14号)が制定された。

近年の法改正

近年の政府における知的財産政策では、知的財産立国を目指す旨が掲げられており、知的財産権の強化という政策的な要求に伴って、不正競争防止法でも、以下のように数多くの改正が行われている。

平成5年(全部改正)

1993年に、旧不正競争防止法が全部改正され、条文のひらがな化、目的の明記、不正競争の類型の整理・拡充および損害額推定規定が設けられた。

平成13年度改正

2001年に一部が改正され(平成13年法律第81号)、ドメイン名の不正取得や利用などの形態が不正競争行為に追加されることになった。

平成15年度改正

2003年に一部が改正され、定義の一部がより弾力的に規定されると共に、営業秘密の刑事的保護の強化が図られることになった。

平成16年度改正

2004年に一部が改正され、外国公務員贈賄罪に対する国民の国外犯処罰が導入された。

平成17年度改正

2005年に一部が改正され、営業秘密の刑事的保護を強化し(主に情報窃盗に関する規定などが追加された)、模倣品・海賊版商品の販売、輸入等に刑事罰を科するなど、保護強化が図られることになった。

平成18年度改正

営業秘密、秘密保持命令違反罪の罰則強化

平成21年度改正

営業秘密侵害罪における処罰対象範囲の拡大等

平成23年度改正

マジコンに関する刑事罰導入、刑事訴訟手続の措置等

不正競争の類型

第二条に定義される「不正競争」は、たとえば以下のように類型化される。以下で『商品等表示』とは、人の業務に係る氏名・商号・商標・標章・商品の容器もしくは包装・営業表示等のことを言う。また、『特定商品等表示』とは、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務(サービス)を表示するものをいう。『商品等表示を使用』には、商品等表示を直接使用する行為のほか、その商品等表示を使用した商品の譲渡・引き渡し・譲渡や引き渡しのための展示・輸出・輸入・電気通信回線を通じた提供を含む。

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訴訟

不正競争防止法は、広い権利形態を保護することから、知的財産訴訟の約4分の1近くを占めるに至っており、訴訟においても、非常に重要な領域となりつつある。しかしながら、不正競争に係る訴訟においては、不正競争行為の形態の認定において、一定の要件を有する必要があることから、抗弁の形態として、その不正競争の要件を満たさない旨を主張する。その際に、不正競争行為と認められなければ、請求は成り立たないことになる。そのため、請求が棄却される割合も比較的多い。

判例など

「iMac」不正競争仮処分事件(平成11年(ヨ)第22125号)東京地方裁判所平成11年9月20日判決では、株式会社の製造するパソコン「iMac」の形態(色彩、素材)が株式会社ソーテックの商品の形態はこれと類似し、アップルコンピュータ株式会社商品との混同のおそれがある旨主張し、商品の製造、販売等の差止めを求める申立てをした事案。

侵害訴訟

差止請求権

損害賠償請求権

不競法第4条において規定されている。本条における要件は、法律上保護する『利益』が侵害されればその要件は満たされるものと解される。

否認

抗弁事由

刑事罰

出題例

不正競争防止法の不正競争に該当するものはどれか。
  • 競争関係にある他社の信用の低下につながる,反社会的な行為を公表した。
  • 自社で使っているドメイン名が,偶然他社のドメイン名と類似していた。
  • 新聞に記載されていた掃除用具開発の着想を参考にして,オリジナルな文房具を開発した。
  • 取引先から入手した情報が他社の営業秘密に当たるものであることを知っていながら,自社で使用した。

正解

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